岡田総領事からのメッセージ

平成26年10月30日
みなさん,こんにちは.
 
街中の木々もはらはらと散り始めて,晩秋の気配です.何となくもの悲しい趣ですが,
9月末にはバンクーバー国際映画祭が開催され,日本の映画も何本か上映されました.
その中の「バンクーバーの朝日」は,第2次世界大戦前のバンクーバーの日系人コミュニティーの史実に基づく映画で,たいへん感動的でした.
 
私自身も,1889年に日本総領事館がバンクーバーに設立されて現在に至るまでの総領事館と東京の外務本省の公文書によるやりとりを読み返し,日系人コミュニティーの歴史の中で総領事館がどのような役割を果たしてきたのか検証しています.
 
これらの公文書を読み返すにつけて,戦前の日系人がカナダ社会で生きてゆくために直面した差別や排斥の問題がいかに大きかったかが鮮明に読み取れます.
 
「バンクーバーの朝日」は,こうした差別や排斥の中で生きた日系人の誇りであった朝日軍の活躍に光をあてたものです.映画の中で画かれている野球チームで実際にプレーされていたケイ・上西さんとお会いしました.現在92歳の上西さんはとてもお元気で,映画祭では舞台でも挨拶されました.映画の最後のシーンにもご本人の後ろ姿が出てきます.上西さんは,淡々と語ってくれました.差別的な扱いの中でつらいこともたくさんあったけれど,朝日軍でプレーした楽しい思い出の方がはるかに大きいと仰っていたことが印象的でした.
 
日本では12月20日に封切られるとのことですが,日本のたくさんの方々がこの映画を見て,カナダの日系人の歴史について知ってほしいと願っています.
 
日系人コミュニティーの方々と行っている日系人の歴史についての検証のワークショップは,すでに4回のセッションが行われ,今までに第2次世界大戦後の歴史までカーバーし,残り2回の次回は,いよいよ日系人に対する補償,いわゆるリドレス運動についてです.10月28日(火)午後7時からバーナビーの日系センターで開催されます.
たくさんの方々の参加をお待ちしております.

2014年10月
在バンクーバー総領事 岡田誠司


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