過去の記事

   
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008

2007

2006
2005
2004
2003
2002
   
 

全米・カナダ邦人安否確認システム
(Emergency Information Service System:EISS)の概要

 

平成18(2006)年9月7日

1.システム構築の背景、目的
(1)システム構築の背景
(イ)高いテロ警戒レベルの維持
昨今のイラク情勢やアルカイーダの動向を見ると、再び当地又は米国内で大規模なテロが発生する可能性は排除されず、米国全土においては、依然として高いテロ警戒レベルが維持されています。

 

(ロ)増加する在留邦人と旅行者

 全世界に在留する邦人数は、急激に増加しており、平成16年10月現在、約101万人の在留邦人が海外に居住、過去10年間で約46%(過去20年間で約110%)増加しています。中でも、全米(ハワイ、グアムを含む)及びカナダには世界最大であり、全世界の在留邦人数の約4割を占める約40万人の在留邦人が居住しています。これに加えて、全米及びカナダは世界有数の観光地であり、米国だけで年間約317万人の日本人旅行者が訪れ、短期留学生の数も非常に多いです。

 

(ハ)緊急事態発生時の安否確認の困難性
こうした在留邦人の中には、そもそも在留届を提出していない、あるいは、在留届は提出しているが最新の連絡先を登録していない方々が多数います。また、短期旅行者についても、事前に日程や宿泊先を決めずに気ままに旅行する方々も数多くいるため、仮に、全米及びカナダにおいて、2001年の同時多発テロ事件のような大規模な緊急事態が発生した場合、日本の家族等から在外公館に対して、こうした邦人に関する安否・所在確認の照会が寄せられても、これに対処することが困難なのが現状です。
また、バックパッカー旅行者等は、緊急事態発生した際に、日本まで国際電話をかけることのできる携帯電話等の適当な連絡手段を持ち合わせていないことが多く、更に、緊急事態発生時には、被災地の電話回線が混雑したり、場合によってはローカル電話会社が回線を絞ることもあるため、電話回線が不通、或いはつながりにくい状況が起こり、日本の家族等が被災地の在留邦人の自宅や携帯電話に直接電話をして、安否確認をしようとしても、あるいは被災地にいる邦人が日本の家族に無事を知らせるために日本に国際電話をしようとしても、これが極めて困難な状況が想定されます。

 

(2)システムの構築の目的・意義

 海外で大きな災害が発生した場合には、まず、第一義的にその地域に居住している、あるいは旅行している邦人が日本の家族に自らその無事を連絡することが大切です。
しかし、そのような緊急事態が発生した場合には、上記のとおり、様々な理由によって、直接、家族と連絡できない可能性があります。
このような事態に備え、外務省では、在留邦人の多い全米(ハワイ、グアム、サイパン、プエルトリコ、USバージン諸島を含む)及びカナダを対象とした音声メッセージによる安否確認システム(いわば伝言システム)を導入することとしました。

 このシステムは、①国際電話のできる連絡手段を持ち合わせていない旅行者であっても、公衆電話から無料で自らの安否に関する伝言の録音することができ、 ②伝言を残すサービスであるため、時差を気にすることなく、また、相手が不在であっても利用でき、③更に、複数の電話会社のネットワークを使用し、合計200回線以上の容量を確保しており、通常の電話回線よりも電話をつながりやすくしているため、緊急事態発生時の安否確認に役立つものと期待しています。

 なお、被災地周辺の電話網が崩壊しているような状況では、その被災地からはこのシステムに対しても電話が通じないことがありますが、その場合には他地域に移動すれば通じることになります。
当然のことながら、この安否確認システムによっても安否確認ができない場合には、家族等から外務省・在外公館に照会頂ければ、外務省・在外公館は従来通りこれに応えるため最大限の努力を行うことに変わりはありません。

 

2.システムの概要
(1)データセンターの設置
全米(ハワイ、グアム、サイパン、プエルトリコ、USバージン諸島を含む)及びカナダ内を対象とした「全米・カナダ邦人安否確認システム」のデータセンターをニューヨーク近郊に設置しました。
同センターは、火災対策が充実しており、米国セキュリティ警戒レベルに連動した警戒システムによって運用されます。さらに、複数の州から複数系統の電力供給を受けることにより、安定した電力を確保し、無瞬断給電装置(UPS)、自家発電装置を完備しています。

 

(2)データセンターまでの電話回線の確保
緊急事態発生時には、電話回線が混雑し、電話会社が回線を絞ることもあり、電話回線が不通、或いはつながり難い状況が想定されますが、このシステムは、複数の電話会社のネットワークを使用し、合計200回線以上の容量を確保しているため、データセンターまでの回線をつながりやすくしており、また、国際通話が混雑する場合には、通信キャリア間の回線の迂回を行うことによって、通話の疎通を図ることとしています。

 

(3)システムの利用方法
全米及びカナダにおいて、緊急事態発生時が発生した場合、このシステムを稼働させます(平常時は稼働させません)。
(イ)全米及びカナダの被災地にいる邦人からの伝言入力
被災地の邦人は、固定電話、携帯電話、又は公衆電話から、フリーダイヤルで同センターに電話し、日本語及び英語(プッシュダイヤルによる選択式)による音声案内に従い、自らの氏名及び安否・所在について音声メッセージ(氏名:5秒、安否に関するメッセージ:30秒)を残します。メッセージを録音する際には、悪用防止のため、暗証キーとして被災者の電話番号と生年月日を入力しプッシュダイヤルで登録します。

 

(ロ)日本や第三国の家族等が伝言を聞く場合
日本や第三国の家族等は、同センターに国際電話をかけ(国際通話料は利用者負担)、日本語及び英語(プッシュダイヤルによる選択式)の音声案内に従い、前述と同じ暗証キーをプッシュダイヤルで入力し、登録された音声メッセージを再生し、被災者の安否・所在を確認します。

 

3.その他
(1)本システムは、上記の音声メッセージの録音・再生機能に加え、緊急時における大使館・総領事館からのメッセージや渡航・緊急情報等が聞ける機能を備えています。

 

(2)本省及び各在外公館では、以下の情報が把握できます。
(イ)被災地の邦人が伝言メッセージを残した件数
(ロ)日本及び第三国の家族等が照会をかけた件数
(ハ)マッチングした件数

 

 

   
 
(C) Consulate General of Japan in Vancouver, 900-1177 West Hastings Street, Vancouver, BC V6E 2K9 Tel: (604) 684-5868. ページ更新日2006年9月11日