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最近のBC州における犯罪発生状況と防犯対策

 

2004年10月
在バンクーバー日本国総領事館

 

1.バンクーバー市

(1) 窃盗
 バンクーバー市では、人口比率で換算すると、東京都の約5倍の比率で犯罪が発生しています。これら犯罪の中で半分以上を占めているのが窃盗です。日本人にとって特に注意すべき犯罪は、旅行者や短期滞在者を狙った置き引き、車上狙い等の屋外盗です。外出に当たっては、所持金は最低限とし、クレジット・カードを利用する、極力複数で出歩く、外部に対する不注意のもととなるのでヘッド・フォンをしない等の注意を心がけて下さい。
旅券の紛失盗難が多発しています。これは、空港、駅、ホテル・ロビー、レストラン、ショッピングセンター等における置き引きが殆どです。旅券を紛失すると旅行をスケジュール通り続けられなくなります。「旅券は絶対失くさない」、「我が身は自分で守る」ということを常に念頭において行動して下さい。また、これらの場所では貴重品を身から離さないようにし、見知らぬ人物から話し掛けられたときは、その人品の如何に拘わらず注意するようにしましょう。置き引き被害の場合にはバック等に貴重品を一緒に入れているのが殆どです。旅券は必要のない限り携行せず旅券の写しで代用するようにしましょう。

 

 車上荒しの対策として、自動車をとめるときは人目のある駐車場を選び、トランクを含み車内に何も残さないことなどの注意が望まれます。

 

 また、静かな住宅街を歩くときや、銀行・ATMからお金を引き出した直後などは、強盗に狙われる可能性が最も高いので、周囲の状況によく注意するとともに単独での行動はできる限り避けるようにしましょう。

 

(2) 詐欺
 図書館等の公共施設やカフェー等、ファーストフード店で、現地事情に慣れていない日本人(特に女性)を標的とした被害が連続して発生しています。

 

 日系慈善団体等からの情報によれば、ホームステイ先や家主との契約上のトラブルや、面識の浅いカナダ人乃至外国人から借金をもちかけられ、お金を貸したが返済してもらえない等の詐欺事件に遭遇して相談を受ける事例も出ています。また、レンタカーを借りる際に金額未記入の伝票にサインしてしまいその後多額の請求書が送られてくるケース、語学学校に直接に連絡することなく学校斡旋業者の広告のみを信じて日本で授業料を支払い斡旋業者が雲隠れしてしまうケース、移民手続き代行の広告を見て日本で料金を支払い事務が進められていないケース等が発生しています。 

 

 デビット・カードによる詐欺まがい事件も相次いで報道されています。このような事件は他人事とは考えず、デビット・カードを使用する場合は、店員や近くの人物の視線に注意し、暗証番号を知られないよう注意するようにしましょう。また、ATMの利用に当たっては、極力、銀行などの金融機関の中に設置されているATMを利用することが望ましいです。詐欺や契約上のトラブル等については、当地の警察も迅速に対応出来ないのが実情ですので、日頃から十分に注意し、そのような被害に巻き込まれないようにしましょう。バンクーバー市における詐欺発生比率は、人口比率で東京都の約7倍もあります。一方的に信じ込まず、十分に警戒して常識を働かせ、毅然とした態度で対応することが必要です。

 

(3) 女性に対する暴行
 女性に対する暴行事件は、夜間だけでなく白昼スタンレーパーク等の公園でも発生しています。夜間の一人歩きを避けるのは勿論、来訪者があるときは相手方が誰であるかを確認した上でドアを開けること、見知らぬ人との会話で住所などをみだりに教えないよう普段から注意しましょう。悪質なカナダ人にとって日本人女性は騙しやすいと思われないよう、しっかり自衛意識を持つことが大切です。

 

 ホームステイ先でホスト・ファーザーに性的嫌がらせや暴行を受けた例も報告されています。日本の女性は被害を表沙汰にしようとしない傾向があるので狙いやすいとのパーセプションがあるという報道もありました。警察は、アジア系女性に対して一般的な注意を呼びかけています。

 

 貸部屋のテナント引き継ぎ(いわゆるテイクオーバー)広告を出した女性を狙った暴行事件が数多く発生しており、被害に遭っているのは殆どがアジア系の女性のようです。この種の事件は、金銭のみを対象とした強盗や怨恨ではなく、明らかに婦女暴行を目的としたものです。見ず知らずの男性と自宅に招き入れる形の孤立環境で会うことは避け、必ず誰かに立ち会ってもらいましょう。広告内容には自分の個人情報を極力少なく掲載し、逆に相手の個人情報をきちんと知っておきましょう。また、女性がルームメイト募集の広告を出すとき、男性可の記載をすることも危険です。

 

(4) 薬物
 昨年、ダウンタウン東地区に北米で初めて注射針提供施設が薬物対策として公設されました。この施策は更なる麻薬中毒患者の増加や新たな薬物問題を招くことも懸念されますので、注射針提供施設の周囲には近づかないようにしましょう。

 

 少量のマリファナ所持については、刑事裁判を簡素化するために罰金制度を導入しようという動きがあるだけであり、これら薬物の所持は少量といえども違法行為です。当地を訪れた日本人も当地警察に薬物密輸、使用、所持で逮捕されているという事実もありますので、麻薬には絶対に手を出さないようにしましょう。

 

(5) その他のトラブル
 民事の問題になりますが、家主と契約書を交わさず若い日本人のテナント同士で勝手に部屋の引き継ぎを取り決めてしまういわゆるテイクオーバーという方法が行われています。しかし、これは単なる口約束に過ぎず本来のテナントとしての法的権利を持ちません。BC州には賃貸住宅法及び関連規則があり監督局も存在しますが、家主以外の人にディポジットを支払った、備品等を買い取った等の正式に家主を介さない手続きは法的効果を持つ契約とみなされないので、監督局に訴え出ることも出来なくなってしまいます。前のテナントを通して家主や管理人と会っていたとしても契約書が存在しなければ、還付金が支払われないケースや逆に修繕費として多額の賠償金を請求されるケースも生じています。テイクオーバーで引き継がれた物件は、最後に入居したテナントが責任をとらなければならないという危険があります。賃貸契約を結ぶ場合は、相手の人柄を問わず必ず契約書という書面により内容の細部までよく吟味した上で契約し、後のトラブルを未然に防ぎましょう。不幸にして暴力事件等が生じてしまった場合には、速やかに警察に届け、事件のケース・番号、対応した警察官の氏名や連絡先を控えておく必要があります。ホスト・ファミリーといえども他人であることを忘れずに、常識ある行動を心掛けることが大切です。

 

 悪質な雇用主による労働基準法違反被害が相次いで発生しています。ワーキングホリデーの方、就労ビザ所持者、長期滞在者、永住権者等をターゲットとし、英語力不足や当地における労働基準に関する知識不足という弱みにつけ込んで、最低賃金以下の時給での雇用、有給手当の未払い、退職金の未払い等の悪質な雇用状況が報告されています。これらの雇用主は、英語を十分に理解しないため仕事選択の範囲が狭く、違法な労働条件でも我慢するという状況を熟知した上で雇用するという悪質ケースも多いようです。仕事先を決める際は、雇用先の状況を周囲の者から十分に把握してから仕事を開始することをお勧めします。万一これらの被害にあった場合は、労働基準局のウェブサイトから申立書を入手して手続きをして下さい。

 

 当地報道によれば、未だ多くの偽造紙幣が多く出回っている状況です。警察に届けられた紙幣は、100ドル札、50ドル札が多かったのに比べ、最近は20ドル札、10ドル札の少額が多く出回っているようです。本物の紙幣は100%綿でできているため洗濯機で洗ってもダメージが少ない、エリザベス女王の瞳孔の周囲がサークル模様で描かれている、背景の模様が細かい数字で出来ている等の違いがあります。銀行を通じて偽装紙幣を手にした場合は状況を説明すれば本物紙幣と交換されます。現状では、ガソリンスタンド、コンビニエンスストア、商店等で出回っているケースが多いので注意しましょう。

 

(6) 治安の悪い地区<イースト・ダウンタウン地区>
 バンクーバー市のイースト・ダウンタウン地区(特にメイン通りとヘイスティングズ通りの交差点周辺地区)は薬物常習者、浮浪者や街娼が昼間からたむろしており、治安と風紀の悪い場所として知られています。また、注射針提供施設の運用開始に伴い、麻薬中毒者が薬物の影響により新たな犯罪を起こす危険性もありますので、特別の用事がない限り、立ち入らないのが賢明です。

 

 また、ダウンタウン中心部では8月に続き、拳銃発砲による殺人事件が発生しています。

 

2.バンクーバー市周辺の都市

 車の盗難、車上荒らしが多数発生しております。バーナビー市とサーレー市は、北米地域においても、人口比率で、自動車に関連した窃盗犯罪発生率が極めて高いという統計があります(特に、サーレー市は、カナダ全体の中でも、人口比率で最も自動車盗難被害の多い都市です)。コクイットラム市やポート・コクイットラム市でも自動車盗が多く、カー・ジャッキング(自動車強盗)の発生も報告されています。自動車を駐車するときには、特に夜間は人目につかない場所をできるだけ避けると共に、防犯システムが設置されていない車は、ハンドル・ロック等を使用することも一案です。

 

 バーナビー市で中国人女性留学生が殺害される事件が発生した他、サーレー市でも女性に対する暴行事件やハンドバッグのひったくり事件が報告されています。人通りの少ない通りや、夜間の女性の一人歩きを避けるなどの注意が望まれます。

 

 リッチモンド市では、夜間に公道で自動車レースが行われ、死亡者が出ています。運転にあたっては、事故にまき込まれないよう注意して下さい。


3.ビクトリア市とその周辺

(1) 窃盗
 ビクトリア市でも置き引き、空き巣、自動車の盗難事件、等が多発しています。置き引きの防犯対策として、空港、駅、ホテル・ロビー、レストラン、ショッピングセンター等人が集まるところでは、僅かな時間でも貴重品を身の回りから離さないことが大切です。また、話しをしている間に別の者が持ち物を盗む被害も出ていますので、見知らぬ人から話しかけられた時には周囲の状況にも注意しましょう。

 

 警察によれば、泥棒が住居に侵入する場合には、裏通りや隣家から目につかないような裏口から侵入することが多いので、裏口のドアの戸締まりには特に気をつける必要があります。

 

 車上狙い被害については、警察の分析では、犯人は運転者が駐車し始めた時から監視しており、貴重品が入ったバックを車内に隠すところも見ているそうです。車外から見えにくいトランクに保管しても、簡易ドリル等により数秒で鍵穴を破壊されてしまいますので、駐車するときには人目のある駐車場を選び、車内には何も残さないようにしましょう。

(2) 暴行
 ビクトリア市内の図書館、コーヒー店、本屋などの若者が集まる場所で、日本人女性に声をかけ、英語を教えるといって自宅に連れて行き暴行するなどの被害が出ていると報じられています。親しくない人に声をかられた場合には不用意について行かない、必要に応じて友人にも同席してもらう等の注意が望まれます。

 

 語学学校等でも日本人女性を狙った被害も見受けられます。白人男性が「手伝いの事務員を雇いたい」等の甘言を用い、事務所に招き入れたり、執拗に自宅に送りたがる等して暴行するケースがあるようです。自宅で性犯罪の被害を受けた場合、被害者は裁判で「合意の下」と判断される可能性が高くなります。こういった状況に陥る前に日本で生活していたとき以上の警戒心を持つようにしましょう。

 

(3) 詐欺
 架空の賞金を餌にした詐欺が相次いでいます。「宝くじの賞金が当たりました」等と電話で連絡してきて、銀行口座への入金のためという理由で口座番号を聞き出そうとするようです。犯人は、巧妙な話術であなたの生活に過度の関心を寄せてきますが、これは情報を引き出すための常套手段です。正規の団体であれば口座番号を聞いたりすることはありませんし、そもそも購入していない賞金は当選しないのですから、うまい話には安易に便乗せず、また、はじめに手数料がかかる等というケースの場合は、公的機関に確認するようにしましょう。

 

(4) 麻薬
 ビクトリアでも麻薬患者が増えてきており、1,500~2,000人の患者がいると推定されています。昨年バンクーバーに設立された注射針提供施設がビクトリアのダウンタウンにも開設されることになりました。関係当局もこの問題への取り組みを強化しています。日本人が麻薬中毒者から暴力を受ける事件も発生していますので、麻薬関連の犯罪に巻き込まれないように十分注意して下さい。

 

(5) その他
 スークやサーニッチ半島周辺、アップランド・パーク周辺で、クーガーが頻繁に目撃されています。BC州には北米で最も大きい部類の3種類のクーガーが棲息しており、バンクーバー島には、その1種である体長3メートル程度のクーガーの生態が確認されています。バンクーバー山、自然公園付近では、子供やペットから目を離さないよう注意して下さい。クーガーは高い場所を好み、よほど空腹か病気でないと人里近くで人間と対峙することはありませんが、都市部の開発で住処が減少しつつあるので油断は禁物です。複数で連れ立って歩いたり、話をしたり、声を出したり、音を立てていると、クーガーは近寄らないようです。不幸にも対峙することになったら、刺激を与えずにクーガーにも逃げ道を与えながら、背中を見せることなく後ずさりするようにしましょう。



 

   
 
(C) Consulate General of Japan in Vancouver, 900-1177 West Hastings Street, Vancouver, BC V6E 2K9 Tel: (604) 684-5868. ページ更新日2004年10月25日