BC州における最近の犯罪発生状況と防犯対策

 

平成17年1月
在バンクーバー日本国総領事館

 

 米国に比べ凶悪犯罪が少なく治安が良好であると言われてきた当地でも日本人が標的となった各種犯罪や様々なトラブルが報告されており、快適な生活環境とは裏腹に当地の犯罪発生率は決して低くありません。特に財産犯罪は北米の中でも発生率が高い都市の一つとなっています。

 

 日本は世界でも有数の「安全国」であるため、自己防衛の意識が欠如しがちです。防犯対策には「自分と家族の身の安全は自分達で守る」という強い心構えが必要です。家族全員で犯罪を誘発する状況を排除し、安全に対する意識を強く持って被害に遭いにくい環境を作りましょう。

 

 以下の情報は、BC州における最近の犯罪傾向と対策です。当地を訪れる邦人の皆様の当地での滞在生活を快適にするために少しでもお役に立てれば幸いです。

 

1.グレーター・バンクーバー

<窃盗>

 

 旅行者や短期滞在者を狙った車上荒らしと置き引きが多発しています。 外出に当たっては、現金所持は最低限とし、クレジットカードを利用する、旅券は必要のない限り携行せず、旅券の写しで代用する、極力複数で出歩く、外部に対する不注意のもととなるのでヘッド・フォンをしない等の注意を心掛けて下さい。

 不特定多数の人が集まる空港、駅、ホテル・ロビー、レストラン、ショッピングセンター等では注意を引く者と盗む者が複数で犯行に及ぶという手口も増えています。足元に置いた荷物は、足で挟んだり、所在を確認する癖をつけることが大切です。

 警察の分析によれば、車上荒らしの犯人は運転者が駐車し始めた時から監視しており、貴重品を車内に隠すところも監視しているそうです。車外から見えにくいトランクに保管しても、簡易ドリル等により数秒で鍵穴を破壊されてしまいますので、駐車するときには人目のある駐車場を選び、車内には何も残さないことなどの注意が望まれます。車上荒らしは、特にリッチモンド地区のレストラン駐車場で頻発していますので注意しましょう。

 静かな住宅街を歩くときや、銀行・ATMから現金を引き出した直後などは、強盗に狙われる可能性が最も高いので、単独での行動はできる限り避けるようにしましょう。

 

<詐欺>

 

 図書館等の公共施設やカフェー等で、親しくもないカナダ人から「私の妻は日本人で以前は日本住んでいた。私のところで働かないか。」等と声をかけられ、前金として手渡された小切手をATMで預け入れる際に暗唱番号を盗み見され現金を引き出されたり、借金の話を持ちかけられ信用して高額のお金を貸した後で逃亡されたりするという被害が数件発生しました。また、公衆電話を利用中に白人男性に「至急現金が必要なので貴女の口座に入金して現金化させたい」と小切手を見せられ銀行まで同行して現金を騙し取られるという銀行のシステムに慣れていない旅行者を標的とした手口が頻発しています。

 これまでの被害で、犯人が胡散臭い風貌をしており、話もあまりにも曖昧という事例はありません。大抵の場合は、犯人の身なりもよく言葉遣いも丁寧で態度も誠実そうな雰囲気を持っており、犯人がの警察を名乗ることさえあります、自分の銀行口座を一瞬でも他人に貸すということが非常識であるということを認識しつつも、外地で外国人の笑顔で対面すると正確な判断ができなくなるのが実状です。詐欺は親切心を逆手に取った犯罪であることを理解し、見知らぬ人物から話し掛けられたときは、その人品のいかんにかかわらず一方的に信じ込むことなく、十分に相手のことを確認した上で常識を働かせることが重要です。また、前述のような事件は他人事とは考えず、デビット・カードによる支払いの場合には、店員や近くの人物の視線に注意し、暗証番号を知られないようにすると共に、ATMの利用に当たっては、極力、銀行などの金融機関の中に設置されているATMを利用するなど、普段から心掛けましょう。

 

<女性に対する暴行>

 

 昨年は、アジア系の女性がジョッギング中あるいは一人歩きをしているときに狙われて暴行を受けた事件や殺害された事件が発生しました。夜間の一人歩きを避けること、来訪者があるときは相手方が誰であるかを確認した上でドアを開けること、見知らぬ人との会話で住所などをみだりに教えないこと等が大切です。日本の女性は被害を表沙汰にしようとしない傾向があるので狙いやすいとのパーセプションがあるという報道もありました。警察は、アジア系女性に対して一般的な注意を呼びかけています。

 貸部屋のテナント広告を出す際に、安易に自分の住所、氏名、性別を掲載し、さらに「ルームメイト男性可」と広告したため、不幸にも被害にあった日本人女性もいます。見ず知らずの男性を自宅に招き入れる形の孤立環境で会うことは避け、必ず誰かに立ち会ってもらいましょう。また、広告する場合は、内容には自分の個人情報を極力少なく掲載し、逆に相手の個人情報をきちんと知っておきましょう。

 

<ホームステイ先とのトラブル>

 

 ホームステイ先のホスト・ファミリーとの人間関係が悪化して暴力を振るわれたり、滞在の契約を途中で解約しようとしたところ、預けていたお金を返金してもらえなかったりした等のケースが見受けられます。ホームステイ先については、信用できる人を介して探すことや、途中解約に関する条項を含む契約書を作成しておくことが大切です。不幸にして暴力事件等が生じてしまった場合には、速やかに警察に届け、事件のケース・番号、対応した警察官の氏名や連絡先を控えておきましょう。ホスト・ファミリーといえども他人であることを忘れずに、常識ある行動を心掛けて下さい。

 

<民事上のトラブル>

 

 家主と契約書を交わさずに若い日本人のテナント同士で勝手に部屋の引き継ぎを取り決めてしまういわゆるテイクオーバーという方法が行われていますが、これは単なる口約束に過ぎず本来のテナントとしての法的権利を持ちません。前のテナントを通して家主や管理人と会っていたとしても契約書が存在しなければ、還付金が支払われないケースや逆に修繕費として多額の賠償金を請求されるケースも生じています。賃貸契約を結ぶ場合は、相手の人柄を問わず必ず契約書という書面により内容の細部までよく吟味した上で契約し、後日のトラブルを未然に防ぎましょう。

 ワーキングホリデー等当地で働く日本人を対象とした給与未払いのケースが発生しています。これは、英語力の乏しい者を対象として、民事裁判に訴えでることなく泣き寝入りするという日本人の性格を利用した悪質な違法行為です。給与、残業、祝日手当などの未払いは労働基準局に訴え出ることもできますが、雇用主が開き直った場合は、まかないの食事代金等の諸費用を請求されることも少なくありません。雇用主がカナダ人か日本人かを問わず、就職前の面接時には口約束だけでなく、必ず書面で契約書を交わしておきましょう。

 

<薬物問題>

 

 バンクーバーでは、マリファナに対する取締まりが必ずしも厳格ではありませんが、マリファナ所持(少量)の刑事裁判を簡素化するために罰金制度を導入しようという動きがあるだけであり、これら薬物所持はあくまでも違法です。残念なことに、当地を訪れた日本人も警察に薬物密輸、使用、所持で逮捕されています。薬物を勧められても誘惑に負けないようにし、麻薬には絶対に手を出さないよう心掛けましょう。特に、バンクーバー市のイースト・ダウンタウン地区(特にメイン通りとヘイスティングズ通りの交差点周辺地区)は薬物常習者、浮浪者や街娼が昼間からたむろしており、治安と風紀の悪い場所として知られています。興味本位でこれらのエリアに立ち入った場合、日が似合う危険性が高まるのは勿論、偶発的に犯罪に巻き込まれる可能性もありますので、特別の用事がない限り立ち入らないのが賢明です。

 

2.ビクトリア市とその周辺

<窃盗>

 

 ビクトリア市でも空き巣、置き引き、自動車の盗難事件が多発しています。空港、駅、ホテル・ロビー、レストラン、ショッピングセンターなど、人が集まるところでは、貴重品を身の回りから離さないなど注意する必要があるのは勿論、最近は、閑静な住宅街でも空き巣が発生しています。警察によれば、泥棒が住居に侵入する場合には、裏通りや隣家から目につかないような裏口から侵入することが多いので、裏口のドアの戸締まりには特に気をつけましょう。また、室内の一部の電灯やテレビを点けておく等家人が在宅している印象を与える工夫をすることも手軽な防犯対策です。旅行等で長期間留守にする場合には、家の合鍵を玄関マットの下や、植木鉢の下等に隠すのはやめ、できれば信頼できる知人に鍵を預け、時々住居の状況を確認してもらうと共に、カーテンを開ける、ゴミを出す等家人が留守であることを確認できないような措置をとってもらうようにしましょう。近所の人やアパートのガードマンに新聞・郵便物の収集を依頼するか、郵便局や新聞配達所にバケーション・ホールドを依頼しましょう。室内に入らなくても駐車場に車両を駐車してもらうだけで効果があります。

 

<麻薬・強盗>

 

 ビクトリア市では麻薬患者が増えてきており、サーニッチ地区では麻薬を購入する現金欲しさに、深夜、スーパーやガソリンスタンドにおいて強盗事件が相次いでいます。特にクック通りとクオドラ通り沿いの治安の悪いエリアやティリカム公園周辺などは薬物が横行していますので、できるだけ立ち入らないようにしましょう。また、夜間のガソリンスタンドで給油する際には、周囲の様子に十分気をつけましょう。

 強盗に襲われた場合は、生命を守ることを第一に考えて、不必要な抵抗はしないことが大切です。すぐにポケットから財布を取り出そうとすることは、相手に武器を取り出そうとする動作と誤解されるおそれがありますので注意しましょう。金品は相手にとらせるか、ゆっくりと差し出すようにしましょう。被害を最小限に止めるために、クレジットカードを入れた財布と、少額の現金を入れた財布の二つを持ち歩き、強盗に遭った場合には後者の財布を渡すようにするのも一案です。被害が身体生命ではなく金銭で済めば安いものと考えるようにしましょう。

 

<暴行>

 

 ビクトリア市内の図書館、コーヒー店、本屋などの若者が集まる場所で、邦人女性に声をかけ、英語を教えるといって自宅に連れて行き暴行するなどの被害が出ていると報じられています。親しくない人に声をかられた場合には、不用意について行かない、また、必要に応じて友人にも同席してもらうなどの注意が望まれます。

 数年前からビクトリアのダウンタウン浄化活動が行われており、若者が一晩中たむろしていた場所の大部分が整備され、バー等の一部の場所に集まる傾向にあります。客の質の悪いバーやクラブには、できるだけ近づかないようにしましょう。

 

3.カムループス市とその周辺

 カムループス市周辺の5号線(Highway 5)では、自動車事故が多発しております。冬季は降雪のため、道路状況が急に悪化することもありますので、事前の準備が必要です。路面が凍結するこの季節は、日当たりの悪いカーブなど道路状況の悪い場所での事故が多発しますので、安全運転を心がけて下さい。また、カムループス周辺に限定されることではありませんが、長距離を高速で運転している際に、カーブを曲がりきれずに横転し、後部座席でシート・ベルトをしていなかった人が亡くなるという事故も少なくありません。シート・ベルトは必ずするようにしましょう。

 万一、事故にあった場合は、直ちに保険会社に電話すると共に、安全な場所で、運転免許証や身分証明書等で確認して、氏名、住所、電話番号、勤務先、車両登録番号、保険会社名、証券番号、保険会社連絡先をメモしましょう。事故現場で相手と口論すること、相手の書類にサインすること、自分の過失を認めて一方的に謝罪すること等は絶対しないようにしましょう。また、相手が運転免許証等を所持していない場合には、無免許運転や無保険の可能性もあるので、物損事故であっても警察に通報した方が良いでしょう。その他、できるだけ目撃者を確保し、証言内容、住所、氏名、連絡先を聴取しておきましょう。また、証拠保全及び保険料請求のため、可能であれば事故現場を写真撮影するようにしましょう。そのために使い捨てカメラを予め常備しておくことも一案です。負傷者がいる場合には、まず応急の救護措置(安全な場所への移動、止血等)を講じ、次に「911」通報により救急車とパトカーの派遣を要請しましょう。

 

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(C) Consulate General of Japan at Vancouver, 800-177 West Hastings Street, Vancouver, BC V6E 2K9 Tel: (604) 684-5868. ページ更新日2006年8月10日